今回も引き続き、40 年に渡ってモンテッソーリ教育を実践している「深草こどもの家」をご紹介します。
深草こどもの家では一日の中で「モンテッソーリの時間」が決まっている訳ではなく、生活そのものがモンテッソーリ教育の考えに基づいて行われています。様々な面に、「子どもが一人でできる」配慮があり、「自分で考えて、行動できる」ようになっていました。例えば室内から外に行くのも自由です。走りたい子どもは、自分で外に出て思う存分走ってからまた自分で戻ってきます。
今回は、素敵な外環境を中心に見ていきましょう。
外環境
竹やぶ
教室から外に出た所。左奥には竹やぶが見えます。
子どもたちが上り下りを繰り返す、自然の崖。
竹をすり抜けて笑顔で走る子どもたちの姿が見られました。大好きな場所の一つなのでしょう。
やぐら
園庭の一角には、木や竹で作られた「やぐら」があります。
ぶらんこをしたり、
はしごでのぼって…
斜めに腹ばいで滑り降りたり、
えいっ!と体いっぱいでジャンプしたりもします。
やぐらを使って色々なことができるんですね。
園庭
園をぐるっと囲む形で広がるお庭は、子どもたちが思い切り走り回ることができます。
右側に見えるのは、モルモットなどを飼っている小屋です。
その他にも、園内で生き物をたくさん飼っているようです。
落ち葉を集めた「落ち葉のプール」。この落ち葉は、あとで焼き芋大会に使います。
アートハウス
木工活動のできる、アートハウス。
アートハウスの屋根ははしごのようになっていて、のぼることもできます。
砂場
アートハウスの横には大きな砂場もありました。
思い思いの道具を使用して、子どもたちが遊びます。
終わったら、砂場で使った道具を洗って、
片づけています。
このように砂場であっても、自分で好きな道具を選んで、元に戻せる配慮がしてありました。
他にも、様々な自由選択の外活動が用意されています。
竹ぼうき
例えば、子どもサイズの竹ぼうきもずらり。好きな時に落ち葉を集めることができます。
縄跳び
三つ編みを習得した子どもが、自分の家から持ってきたシーツなどの端切れでつくった縄跳び。
お友達と、大繩とびもできますね。
竹馬
外活動には、竹馬もあります。
その他にも「動植物の世話をする」「花を摘む」等、外環境にも自由選択できる活動がたっぷりと用意されていて、「モンテッソーリ教育が教具を使った室内活動だけではない」ということを実感させられます。
そして、控えめで優しい先生方は、常に応答的で、主体は子ども。子どもが自信を持って伸び伸びと過ごす様子を、たくさん目にすることができました。
子どもの環境に大切なこと
最後に、園長の根岸美奈子先生にお話を伺いました。
– 日々の保育で最も大切にしている事とは、何でしょうか。
「一人ひとりの子ども達の思い、考えによりそって、援助できる教師であること。そのために環境をいつも整えておくことです。」
– モンテッソーリ教育の環境設定で大切にしている点はありますか?
「環境は、大きく二つに分けることができます。『空間的環境』と『時間的環境』です。
1. 『空間的環境』は、さらに二つに分けられます。
①人的環境
・異年齢の子ども社会(3歳児から6歳児)
・その子どもたちを援助する教師の存在が必要です。
②物的環境
【室内】
・子どもサイズの本物の生活道具や教材。(アイロン、包丁、ガラス、陶器の入れ物など。)
・家具、棚、くず箱などの置く場所を一定にすること。(大人の都合でコロコロ変えないこと。)
(子ども用のシンクでは、使った本物の湯呑を洗ったり、拭いたりします。)
【園庭】
・できる限り自然を多く取り入れること。
・子どもが一人で、環境 (砂場のおもちゃの出し入れや、おもちゃを洗う事、草花の世話など)や自分自身の世話(手洗い、足洗い、着替えなど)をできるように整えておくこと。
(一人で「足を洗う」ことができる環境)
(一人で「足を拭く」ことができる環境)
2. 『時間的環境』については、
・子どもが自ら選んだ活動を、十分にやり終えることのできる時間を保障してあげること。
・生活の流れが、いつも一定であること。
子どもにはこのような環境が大切です。」
このような考えのもと、子どもが子どもらしく、のびのび生き生きと過ごしている場所、それが初めて訪れても、なぜか懐かしい「深草こどもの家」なのでした。
【京都モンテッソーリ教師養成コース付属 深草こどもの家】
〒612-0817 京都市伏見区深草向ヶ原町 17 番地
お知らせ
深草こどもの家では2020年に「学校法人化プロジェクト」が発足しました。このプロジェクト実現には、新園舎建築などに伴う多額の資金調達が必要となり、寄付受付が始まっております。
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