2019.10.06 「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」出版記念 あべようこインタビュー


「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」の表紙

 

2019年10月7日、イデー・モンテッソーリ編集長あべようこの第二作目の著書『未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て』(河出書房新社)が出版されます。

 

それを記念して、普段はインタビューする側のあべようこ氏に、話を聞きました。

 

(取材、文 田口有希)

 

「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」出版記念 あべようこインタビュー

あべようこ

あべようこ

 

プロフィール

上智大学文学部教育学科卒。保育士。

国際モンテッソーリ協会(AMI)公認(0-3歳)国際教師資格取得

日本モンテッソーリ教育綜合研究所モンテッソーリ教育 0-3歳教師養成通信教育講座修了

日本モンテッソーリ協会公認(3-6歳)教師資格取得

国際モンテッソーリ協会(AMI)公認(6-12歳)国際教師資格取得中

著書「マンガモンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」河出書房新社より発売中。

現在は講演会活動やモンテッソーリ教育実践園のコンサルタントなどを行なう他、モンテッソーリ教育のポータルサイト「イデー・モンテッソーリ」を運営し、これまでに国内外のモンテッソーリ教育関係者や園の取材を数多く行う。

Instagram (@montessorimanga) でも子育てのヒントになるマンガを公開中。

おもちゃコンサルタント、おむつなし育児アドバイザーとしても活動中。

 

 

モンテッソーリ教師がマンガ家に!?

– このたびは、2作目の出版おめでとうございます。はじめに、出版までの経緯から教えていただけますか?

 

あべようこ

「はい。まず、2018年に私の初著書となる『マンガ モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』(河出書房新社)というマンガを出版したことからお話しします。この本は、日本のモンテッソーリ教育業界の第一人者であった故・相良敦子先生による同名のベストセラーが原作です。」

 

「モンテッソーリの幼児教育 マンガ ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」の表紙

 

「相良敦子先生は、日本でのモンテッソーリ教育の普及に大きな貢献された方です。モンテッソーリ教育を子育て中のママやパパに向けてわかりやすい文章で語った本をたくさん出版されました。」

 

(相良敦子先生)

 

「そんな相良敦子先生が、30年以上前に講談社から『ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』という本を出した時、その時の編集者から『次は、これをマンガにしてください』と言われたそうなんです。」

 

 

「それ以来、それを実現できそうなマンガ家を探していたものの、モンテッソーリ教育の本質がわかり、同時にそれをマンガで表現できる人に、出会うことができなかったそうなんです。そんな中、2018年に私がはじめてお会いした時に、30年以上を経て『それができる人に出会えた!』と仰ってくださいました。」

 

– それはスゴいですね!あべさんは、昔からマンガを描かれていたんですか?

 

あべようこ

「私はプロのマンガ家ではなく、ただマンガを描くのが好きなモンテッソーリ教師です。日々の生活をマンガにして家族や友人を楽しませる程度でしたが、それでも皆が笑ってくれると嬉しかったですし、こういうわかりやすい手段でモンテッソーリ教育を伝えたいという夢を持っていました。

 

それで出版に向けて、マンガの学校に一年以上通いました。そこでデジタルソフトの使い方を習得し、今では少し楽に書けるようになりましたが、最初は本当に大変でした!編集者さんたちがよく根気強くつきあってくれたと思います。

 

また、こんな私を信じて指名してくださった相良先生にもとても感謝しています。」

 

– そして、漫画を出版されていかがでしたか?

 

あべようこ

「モンテッソーリ教育って、むずかしいイメージを持たれる方が多いんです。もっと気軽に手に取って欲しいと思っていましたが、実際に普段本を読まない人たちからも『マンガだからすぐに読めた』と言ってもらえました。

 

今後もモンテッソーリ教育を今のママパパに広めるために、マンガで解説し、表現していきたいと思いました。」

 

※『マンガ モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』特設サイトはこちら。

 

業界初の0歳と1歳に特化した本!

あべようこ

 

– そして今回『0歳と1歳のモンテッソーリ子育て』という本の出版に至ったわけですが、前回の本との違いや、今回ならではの特徴はなんでしょうか?

 

あべようこ

「前回の本はどちらかというと、歩き出して、話はじめた2歳頃から6歳頃までの子育てを描いた本です。イヤイヤ期は実は敏感期であることや、上手な教え方などをマンガでお伝えしました。

 

今回の本は、日本のモンテッソーリ業界でおそらく初となる「妊娠」「0歳」「1歳」だけに焦点をあてて書かれた本です。

 

これまで0歳~3歳の本というのはたくさん出版されてきましたが、その中では特に0歳、1歳は一部分として語られることが多く、そこだけに振り切った情報が少ないと感じていました。

 

0〜1歳というのは、その後の人生を決めると言っても過言ではないくらい、大事な2年間です。そこで培った、自分やまわりへの信頼、身近な人との愛着というものは、その後一生に渡ってその人間を支え続けるからです。

 

大人から見ると、できることは少ないかもしれません。でも、毎日肌と肌で優しく触れ合うこと、ママやパパとのコミュニケーション、五感をできるだけ使うこと、秩序があることなど、シンプルなことを心がけることで安心感につながっていきます。『この世界はよいところなんだな!』という信頼感や『自分は有能な存在なんだな』という自信などの目に見えないものを未来に向けてしっかりと育むのが、生まれてから最初の1、2年だと思うんです。」

 

(『未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て』より)

 

「今回の本では、自分の育児やモンテッソーリ教育の0歳~3歳の資格者として、お伝えしたいことをイラストやマンガで紹介しています。

 

これからママやパパになる人、0歳や1歳の子育て中の方、モンテッソーリ教育に興味のある方、また出産祝いなどにもおすすめです!」

 

– 0-1歳のモンテッソーリ教育は、家庭でも実践できるのでしょうか。

 

あべようこ

「もちろんです!2 歳以降に小さな集団の中で社会性を育む前に、まずは身近な家族との密着した愛着関係を作ることが不可欠です。最初にモンテッソーリ教育の子どもの見方やたすけ方の基礎を知っていただけたら、その後つづく2 歳以降の子育ても全然ちがうと思います。

 

もちろん、保育園でも0-1歳向けのモンテッソーリ教育行われています。私の勤めていた園でも、0歳クラスはモンテッソーリ教育の理念に基づいて、環境が整えられ、先生方もやさしく丁寧に接していらっしゃるので、とても安心感に満ちた穏やかな空間になっていました。

 

しかし、できれば本当は0-1歳のモンテッソーリ教育は、家庭で行うのがよいと思います。働かれていても、家庭での関わり方に取り入れることができます。3歳以降のようにモンテッソーリ教具があるわけでもないですし、実践しやすいと思います。本当にシンプルなことばかりで、あまりに当たり前のことだからこそ、見落としてしまいがちなのかもしれません。この本をきっかけにあらためて認識していただければと思います。」

 

– 0歳から大事な時期が始まっているのですね。モンテッソーリ教育というと教具を使うイメージがあるので、妊娠中や0歳からできることがあるなんて、あまり知られていないのではないでしょうか。

 

あべようこ

「そもそも、今回の出版のきっかけは、まさにそんなご意見を聞いたことでした。担当してくださった編集者さんの周りで、産休明けのママさんたちから『0歳の時期って何していいかわからない!』という声があったそうなんです。それも一つの決め手となりました。

 

でも一番大きなきっかけは、私の妊婦の友人の言葉です。彼女は真面目で一生懸命な性格なんですが、モンテッソーリ教育に興味を持ってくれていて、ネットで色々な情報を集めていました。そしてある時『赤ちゃんが産まれたら、新生児の時から動画やDVDで勉強させようと思う!これってモンテッソーリ教育なんでしょ!?』という連絡がきたんです。私は頭がガーン!となりました。

 

それは全くモンテッソーリ教育ではないし、間違った情報です。新生児期はむしろ、絶対に動画など刺激的なものは見せないで、ママとゆっくり過ごしてほしいんです。でも、今の時代は情報が溢れているので、そんなことがモンテッソーリ教育だと純粋なママさんは信じてしまうかも知れません。

 

私も自分の育児のときに、『モンテッソーリ教育を知っていて良かった』と思えたことが本当にたくさんありました。そしてそれは、今の娘を見てもとても良い影響を与えられたと感じています。

 

だったら、0-3歳の子どもに関する国際モンテッソーリ教師のトレーニングを受けた自分なりに、0歳や1歳の時期に大事だと思うことを、わかりやすい本にしようと決めました。」

 

(「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」ゲラ)

 

– 執筆にあたり気を付けたことはありますか?

 

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「『こうでなければならない!』という脅しのようにならないよう心がけました。これは子育て中のパパやママを助けるためにかかれた本ですので、理想通りにいかず、現実とギャップに悩まれないようにと気を付けました。

 

また『ここはもう少し専門家の意見を聞きたい』と思ったところは迷わず取材し、『モンテッソーリの考えと大きく違わない』という場合は、その考えの紹介もしました。

 

ママやパパにも色々なタイプの方がいます。様々な教材をつくったり、一日中赤ちゃんと遊ぶのが全く苦ではない方もいれば、それを負担に思われる方も当然いらっしゃると思います。でもそれが苦手な方はモンテッソーリ教育ができない、ということはありません!

 

私が思うに、モンテッソーリ教育は結局『心』で行うものだと思うんです。」

 

(「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」より)

 

赤ちゃんの、五感を思う存分使えるようにする。

 

赤ちゃんの、運動をできるだけ妨げない。

 

赤ちゃんでも、選択肢を与える。

 

赤ちゃんでも、ひとりの人間として敬意を払って尊重して接する。

 

赤ちゃんでまだ話せなくても、たくさん話しかけて会話を楽しむ・・・など。

 

故・相良敦子先生は『知っているのと知らないのとでは大違い』とよく仰っていました。本当にその通りで、ちょっと子どもの見方を知っておけば、どんな親でもそれを軸にしながら子育てのヒントにしていくことができます

 

この本を読んですべてを完璧に理想通りにしなくても、『ああ、この時はこうしたらいいんだよね』と手がかりにしていっていただけるような本にしたいと思いました。」

 

(「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」より)

 

 – 最後に何かメッセージはありますか?

 

あべようこ

「0歳と1歳の時期は、その後の幼児期とは大きく違う特別な時期です。その時期に、目に見えてできることは少ないかもしれないけれど、子どもの見方を少し知っていれば、愛に満ちた幸せな日々を送ることができると思います。

 

この本を読んで、モンテッソーリ教育のことを少し知っていただけたら、とても嬉しいです。」

 

– あべようこさん、ありがとうございました。

 

 

「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」

「未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て」の表紙

河出書房新社

単行本 A5 ● 144ページ
ISBN:978-4-309-24930-8 ● Cコード:0037
発売日:2019.10.07(予定)

 

セミナーのお知らせ

『未来の才能をのばす 0歳と1歳のモンテッソーリ子育て』の出版を記念して、著者のあべようこによるセミナーの開催が決定しました!

 

<日時> 2019年10月20日(日)13:00
<会場> 株式会社ピースオブケイク (東京・外苑前)

 

続々とお申し込みをいただいております。
ぜひお早めにお申し込みください!

 

詳細やお申し込みは、下記よりご覧ください。


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