東京モンテッソーリ教育研究所 付属教員養成コース(東京コース)で、長年「数教育」を教えてらっしゃる、廣澤弓子先生にお話を伺いました。
(生徒を教える廣澤弓子先生)
子どもの周りにあふれる数
「今、こどものまわりは数(すう)にあふれています。数は量に関すること。
例えば、買い物に行っておつりがいくらとか、くつが小さくなったとか。お兄ちゃんの方が背が何センチ高いとか、さまざまです。
このように、数であふれた日本で生きていかなくてはないので、子どもは自然と『もっと知りたい』という気持ちになります。」
(数教育を担当する、廣澤弓子先生(右)と三浦直樹先生(左))
– そのために、モンテッソーリ教育のたくさんの数教具があるんですね。
「モンテッソーリの数の教具は本当に素晴らしいけど、大人の考えで『やらせよう!』と思ったらいけません。」
(量が体験できるビーズでできた教具)
– 大人がやらせてはいけないのですね。
「はい。子どもに、知りたい気持ちがあることが先です。
1-10の数を知りたい子どもは、数の棒をやって楽しいんですね。『3の次は4』と量を体験するので、記号を言うようにただ唱えているのとは違うんです。」
※数の棒とは、1-10までの数が、棒の長さになって表現されたもの。数の量と数詞、数字を、感覚を通して一致させていくことができる教具。
「わかりたい!という時に適切な教具があると、混乱せずに獲得できる。理解を助けることができます。」
「わかりたい!」に、こたえる教育法
「子どもの内側から湧き出てくる『わかりたい!』『できるようになりたい!』という気持ちにこたえていく。
そのために、モンテッソーリの教具はとてもよくできていると思います。でもただ教具を与えればできるかというとそういう訳ではなく、先生の提供(使い方を紹介する方法)が必要になる。」
– そのために、こちらに沢山の生徒たちが使い方を学びに来ているのですね。
「はい。先生も、子どもに伝える際に、丁寧に正確に提供しなくてはいけないんです。子どもの集中を妨げずに繰り返しできるようにね。数に対する敏感期を逃さないことが大事なんです。」
子どもが自分で間違いを訂正できる
– 一般的な算数のイメージは、先生が答えにマルやバツを付けていくようなイメージがありますが、モンテッソーリ教育の「数教育」では、子どもが間違えた時はどうするのでしょうか。
「モンテッソーリ教育には、間違いの自己訂正があります。
(1-10の数字を並べた後に、向きなどの間違いに気が付けるようになっている教具)
それは数だけではありません。例えば、日常生活の練習という分野に『色水注ぎ』という活動があります。トレイは白にして、色水がこぼれたら、こぼれたことが自分でわかるようになっている。
そして、こぼれた水を自分で拭けるように、スポンジや台拭きが用意されています。
全部の教具を通してそうなっているんです。」
– 間違えた時に子どもが「自分で」どうするか?
「そう。間違えないよりも、間違いに直面させることの方が大事なんです。
常に自分で間違いに気が付いて、自分で直せるようになっているのは、大人が指摘すると子どもが恥をかくからではなく、もっと奥が深いんです。間違いに直面することで、子ども自らが色んなことを学ぶということなんです。」
(数のゲーム)
廣澤弓子先生、ありがとうございました。
次回は「言語教育」のお話を伺います。
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