2022.12.14 「モンテッソーリのせいかつえほん かたづけできた」出版記念  北川真理子さんインタビュー


 

2022年12月に「モンテッソーリのせいかつえほん かたづけできた」が出版されました。

 

今回はこの本の著者で、これまで日本にモンテッソーリ教育を広める活動をされてきた「モンテッソーリアンまりこ」さんこと、北川真理子さんにお話を伺いました。

 

北川 真理子 Profile

AMI(国際モンテッソーリ協会)0-3,3-6歳ディプロマ保持。一般の保育園、モンテッソーリ教育の幼稚園、学童、発達支援の放課後デイケアなど、幅広い現場経験を持ち、結婚妊娠後、「モンテッソーリアンまりこ」として情報発信を開始。

 

インスタグラム6万人、Youtube1万人のフォロワーを持ち、企業とのコラボセミナー、のべ1000人が受講しているオンラインサロン『子育ての学校』を運営、ネットショップ『コソダチショップ 』のオーナー。

 

『いちばんていねいな はじめてもおうちモンテッソーリ』の出版を機に「北川真理子」として活動スタート、モンテッソーリの生活絵本シリーズ『トイレでできた』『かたづけできた』著者、合同会社コソダチの代表。

 

2児の母、第3子妊娠中でもある。

 

 

インタビュー:あべようこ(イデー・モンテッソーリ編集長)

撮影協力:モンテッソーリ・ファーム

 

「モンテッソーリアンまりこ」になるまで

 モンテッソーリ教育との出会い 

あべ 

「まりこさん、今日はインタビューの機会を頂きありがとうございます。私がまりこさんの存在を知ったのは、2018年頃だったかな。インスタグラムで何万人ものフォロワーのいるモンテッソーリアンまりこさんという存在を知って、衝撃でした!『こんなにもわかりやすく一般の人にモンテッソーリを届けている人がいる!すごい!』と思いました。

 

それまではどのような活動をされて、なぜ発信をはじめたのでしょうか?」

 

まりこさん

「ありがとうございます。私はもともと、モンテッソーリ教育を少しだけ取り入れた保育園で働いていたんです。モンテッソーリ資格をもった人は誰もいませんでした。でも姉妹園に1人有資格者がいらっしゃって、その方が月に数回研修会を開いてモンテッソーリ教育について教えてくださっていました。

 

あべ

「そこではじめてモンテッソーリと出会ったのですね!」

 

 

まりこさん

「はい、興味をもってもっと学びたくなり、思い切って資格を取りに「東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター」へ通うことにしたんです。1年間毎日、知識と実践という大量の情報が入ってきて、楽しくもあり大変でもあり、本当に人生で一番頑張った年だと思います。授業がない日は実習や実践練習で園やセンターに通い、終わらない課題を夜泣きながらやることもありました。

 

苦労して勉強してきた同級生は、今でも繋がっている大切な仲間ですね。

 

トレーニングセンターの同級生たちと

 

子どもたちの人生の大事な瞬間に立ち会っている

あべ

「一緒に苦労した仲間は、絆が続きますよね。そして卒業後はどうされたのですか?」

 

まりこさん

卒業してからはモンテッソーリ幼稚園に就職して、私はモンテッソーリ教育にどんどん夢中になりました。今までの保育経験ではどう関わったらいいのか分からないような、動きの多い子とかイタズラをするような子どもたちが、モンテッソーリ的な活動を通してみるみる変わっていくんです。

 

幼稚園時代の真理子さん

 

動き回る子やイタズラをする子って、要はその子なりにSOSを出しているんですよね。実は自分のやりたいことがなくて動き回っていたり、やりたいことを見つけられなくてイタズラしたり、一見よくないことをしてしまうんです。

 

でもその子をよく観察して、何がやりたいのか見つけてあげて、それを認めたり、繰り返しできるようにしてあげたりすれば、みんな本当に素直な本来のその子の姿になるんです。

 

お花を行ける息子さん(当時3歳)

 

子どもたちの生き生きとする姿、大人顔負けの真剣な表情で教具をやっている姿、興味津々で取り組む姿、どれもとても尊く、子どもたちの人生の大事な瞬間に立ち会っているような気分でした。

 

そしてこの物事に対する姿勢が小学校、中学校、大人になってもずっと続いていくんだろうなと思うと、自信をもって幼稚園から送り出せましたし、将来が楽しみで仕方ないです。その時のクラスの子どもたちとは、いまだに年賀状でやり取りさせていただいています。

 

モンテッソーリ幼稚園のクラスの子どもたちと

あべ

「それは素敵な関係ですね!」

 

まりこさん

その後モンテッソーリ園から離れて、学童や放課後デイケアで働いた時期もありました。

 

でも結局、教具がなくたってモンテッソーリじゃなくたって、子どもにやってあげるべきことは同じだってわかったんです。

 

植物に水やりをする息子さん(当時3歳)と真理子さん

 

 

その子の今の発達段階を理解してあげて、何をやりたがっているか観察して、やりたいことを思う存分させてあげる

 

それはまさにモンテッソーリ教育の揺るがない本質で、やっぱりモンテッソーリ教育は最強だなと思いました(笑)

 

あべ

「なんていい言葉!まさしくモンテッソーリ教育の本来の姿ですね」

 

だれでもわかる言葉で子育てのヒントになることを伝えていきたい

まりこさん

そこから自分の理想の幼稚園を作りたいと思って大学に通い直したり、結婚したりといろいろあったんですが、情報発信を始めたきっかけは長男の妊娠でした。つわりがとにかく辛かったのと切迫流産にもなってベッドから起き上がれなくて、鬱っぽくなってしまったんです。そんなときに夫が「そんなに辛いなら、大好きなモンテッソーリ教育の情報発信したら楽しい気持ちになるんじゃない?」って勧めてくれたんです。

 

結婚してから、ちょこちょこ街中のお母さんお父さんに「もっとこうしたらいいのに」「こうしたらそんなにイライラしないんだよ」と思ったことをよく夫に言っていたんです。それがベースで、モンテッソーリの専門用語は使わずに、だれでもわかる言葉で子育てのヒントになることを伝えていきたいなと思ったんです。」

 

 

あべ

「なるほど、そのような理由ではじめられたのですね!だから、あんなにわかりやすく、みんなに届けられたのですね。

 

発信をはじめられて、感じている手ごたえとか、まわりの変化とかはありましたか?」

 

まりこさん

「たくさんあります!やっぱり、みなさんモンテッソーリを知って、子育てが楽しくなった、イライラしなくなったっておっしゃる方が多いです。もっと早く知りたかったという方もいらっしゃいます。

 

初めはインスタグラムのコメントにひとつひとつ返信していたんですが、だんだん量が増えて1日中スマホに向かっているような状態になってしまったので、4年前にオンラインサロン『子育ての学校』をはじめることにしました。

 

『子育ての学校』では今の子どもの発達を知ることができるし、同じ悩みの同じ教育方針をもったママコミュニティもパパコミュニティもあって、みんなの実践日記をみたりしながら、みなさん自分のペースで家庭に取り入れていらっしゃいます。

 

セミナーの様子

 

メンバーの方のモンテッソーリ教育への理解度がすごく深まっていく様子も会話の中で垣間見えるので、とっても嬉しいです。

 

モンテッソーリのせいかつえほん

絵本シリーズ「モンテッソーリのせいかつえほん」とは

 

あべ

「そして、まりこさんは昨年から絵本シリーズ『モンテッソーリのせいかつえほんを出版されていますが、こちらはどういった絵本なのですか?」

 

まりこさん

「簡単に言うなら普通の絵本です(笑) 普通の当たり前の現実、人間の子どもが主役で日常の生活をしている姿を描いています。だから動物が服を着て喋ったり、空を飛んだり、魔法が使えたり非現実的なことは一切ありません。

 

でもそんな現実が0-6歳のお子さんには大切なんです。

 

0-6歳は、自分を作っている時期です。目で見て触れて五感で感じる生活のちょっとしたことから「心」「言語」「感性」「創造力」「知性」、すべてが育まれていきます。

 

大人にとっては他愛もない、季節の変化や、色とりどりの落ち葉、旬の野菜、お天気、手を洗うときの水の温度、お風呂にはいってさっぱりする気持ち、そんな当たり前を大切にしてあげることが子どもの成長に繋がるんです。

 

絵本はそんな生活の大切さを、親御さんにもお子さんにも伝えることができると思っています。

 

日々の当たり前の中に『できた』『気持ちいい』という心が育つ要素がつまっていて、生活を大切にすることで子どもは自立するし、親は楽になるということが伝わって、絵本を通して『なんか子育て楽しくなったな』と思ってもらえたら嬉しいです。

 

回の生活絵本シリーズは、0, 1, 2 歳の低年齢を対象にしています。文字が少ない分、なんども何度も読むので「つい自分も真似したくなってしまう」というのを狙っています

 

 

なので、実際からしたら『お利口さんすぎる』『こんなにうまくいかないよ』と思うかもしれないんですが、あえて理想を描いて真似っこを誘っているんです。」

 

 

あべ

「第一弾の『トイレでできた』も拝見しました。とっても絵がかわいらしくて、そして、考え抜かれた、やさしくて素敵な文章。子どもも自分で持っても危なくないように、ページが厚いなどの配慮がされていますよね!

 

ほかに工夫した点やこだわりはあるのでしょうか?」

 

まりこさん

「はい!たくさんこだわりました(笑) 低年齢を対象としているので分厚い方がめくりやすいというのと、毎日何度も読んで欲しいのでじょうぶにしたくて、この形になりました。

 

そして、絵本では珍しい親御さん向けの解説ページを最後に作っています。おうちでどんな風に取り入れたらいいのか、どんな環境づくりがいいのか、関わりのポイントなどを簡単にまとめています。

 

そしてなにより、一番見て欲しいのは森碧(もりみどり)さんの作画力ですね。あたたかくも現実的で、現場で働いている先生ならイラストを見ただけで大体の年齢や発達がわかるくらいリアルに描いてもらっています。私は絵は素人ですが、子どものプロなので、絵本の主人公の発達を踏まえながらこんな表情がいいとか、歩き方や姿勢、身体のどこに力が入っているか、体型、服装など、すごく細かく指定させていただいているんです。

 

『トイレでできた』は、発売からすぐAmazon絵本ランキング売上1位にもなり、1年で5回重版、のべ17,500部も刷られています。現実的な絵本がこんなにもたくさんの方に求められているんだなと確信した気持ちと、絵本を通してすこしでも子育てのお役に立てることが嬉しいです

 

 

おかげさまで今回発売のシリーズ絵本『かたづけできた』、そして来春には『はみがきできた』も発売予定です。ぜひ、シリーズ3冊で持っていただきたいです!」 

 

あべ

「素晴らしい!トイレ、かたづけ、はみがき、と本当に身近なテーマなので、是非皆さんに手に取っていただきたいですね。」

 

まりこさんのこれからの夢

 

あべ

「最後に、まりこさんのこれからの夢や目標をお伺いできますか?」

 

まりこさん

まずモンテッソーリ園を増やすこと、そして数年以内に自分の園も持ちたいと思っています。

 

モンテッソーリ教育の普及はもちろん、モンテッソーリの小学校の先生の資格も取りたいですし、ようこさんのようなモンテッソーリの小学校の先生が増えるように働きかけたいです。

 

 

あべ

「是非お願いします!」

 

 

まりこさん

あとは、子どもが育つ子どものための家具や家、カフェ、プレイルーム、児童館などの監修とか、モンテッソーリ的な日常に即した家庭用のおもちゃをつくったり、モンテッソーリ村を作りたいとも思っています。

 

もっと社会全体が子どもを一人の人間としてしっかり尊重してあげて、子どもにも親御さんにも優しい環境をつくっていけば、子育てがしやすくなるし、楽しくなるし、子どもは自然と自立して親御さんは楽になるんです。社会全体で見ても好循環になると思います。

 

 

まだまだ、100年も前の教育についていけてないくらい日本の教育や子育てに関する考え方が古いところがあると思うので、こうすればいいのに、こんなのあればいいのにと日々思うことばかりです。

 

私自身まだ小さな子どもの母親なので、最優先はやはり家庭と自分の子どもですが、今やれることから少しずつ着手して、人生をかけて世界中の子どもの幸せのためにできることをすべてやりたいと思っています。

 

あべ

「すごく素敵な夢ですね!本日はありがとうございました!

 

北川真理子さんリンク集

■Montessori Style

https://montessori.style/

 

■Instagram

https://www.instagram.com/montessorian.mariko/

 

■Twitter

https://twitter.com/montessorian_m

 

■YouTube

https://www.youtube.com/channel/UCQahn71g5gUpAK38b2MehUQ

 

■オンラインサロン『子育ての学校』

https://kosodate.school

 

■オンラインショップ『コソダチショップ』

https://kosodachishop.com

 

■書籍

『いちばんていねいなはじめてのおうちモンテッソーリ』

https://amzn.to/3H0JtYU

 

『トイレでできた』

https://amzn.to/3UoL8dL

 

『かたづけできた』

https://amzn.to/3VkJcUN

 

シリーズ絵本公式サイト

https://montessoriehon.net/

 

 





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