家庭は、子どもの生活の土台となる場所です。
そこが子どもにとって魅力的で、生き生きと自発的に行動できる場であること。
それは子どもの発達にとって、非常に大切なことですね。
そのためにどのようなお部屋を用意したら良いか、年齢に応じてご紹介します。
0歳前半 ~ねんねの時期~
この時期のお部屋づくりのキーワードは、「秩序」です。
生まれたばかりの赤ちゃんにとって、この世界は未知のことだらけです。突然、今までと違う環境に飛び出してきて、訳の分からないまま日々の生活が始まるのです。
そんな中で、赤ちゃんが環境に適応していく拠り所となるのが「秩序」です。たとえば、毎日同じ物が決まった場所にあり、同じ人が決まった流れで世話をしてくれる…それが赤ちゃんにとって、どれだけ安心感を与えてくれるでしょうか。
私たち大人でも、お部屋がコロコロ変わったり、次に何が起こるか予測できなかったりすると、気持ちが落ち着きませんね。初めてこの世界にやってきた赤ちゃんなら、なおさらです。
「いつもと同じ」「繰り返し」が、この時期の赤ちゃんにとっては何よりも大切なことなのです。
4つのエリア
実際に家庭のお部屋を用意する際は、以下の「4つのエリア」を考えると良いでしょう。どこで何をするかがはっきりと決まっていて、赤ちゃんにとって生活の流れが分かりやすいことが大事です。
- 睡眠のためのエリア
- 授乳のためのエリア
- 活動のためのエリア
- 世話をするためのエリア
それでは、それぞれを具体的にみていきましょう。
1 睡眠のためのエリア
寝る場所は、できればベビーベッドよりも布団の方がお勧めです。赤ちゃんは周りの環境をじっと観察して、様々なことを吸収していきますが、ベビーベッドは柵に覆われていて、赤ちゃんの視界が制限されるからです。また、寝返り前の赤ちゃんでも、少しずつですが回転したりずり上がったりしています。柵のない布団の方が、赤ちゃんが自由に運動できるのです。
2 授乳のためのエリア
授乳の場所では、母子ともにリラックスして過ごせるよう、居心地の良い空間にできるといいですね。ゆったり座れるソファやクッションを用意したり、日当たりの良い窓際の席にしたり…親子の大切なコミュニケーションの時間を楽しみましょう。
3 活動のためのエリア
日中機嫌が良いときに、遊んだり運動したりする場所です。
伸び伸びと安全に過ごせるよう、マットなどを敷くと良いでしょう。できれば鏡を横向きに置いてあげると、赤ちゃんは自分がうつっている様子を興味津々で見つめます。
鏡の自分に向かって話しかけたり、一生懸命に手足を動かしてみたり…どんな月齢の子でも、「環境が魅力的であること」「何かに集中すること」は、とても大切です。
(左から、授乳の為のエリア→睡眠の為のエリア→活動の為のエリアとなっています)
(2ヶ月の時の様子;起きている時は、ここで鏡を見てご機嫌です。)
4 世話をするためのエリア
ここでは、おむつ替えや着替えなど、日常のお世話を行います。
毎回同じ場所で、同じ流れで行うことで、赤ちゃんのほうもだんだんと「今からおむつ替えをするんだな」などと予測ができるようになります。
(赤ちゃんに服を着せたり、クリームを塗るための場所の例)
上のお子さんやペットがいたりして、「赤ちゃんにそんなに広いスペースは用意してあげられない」というご家庭もあるでしょう。ですが、ほんの小さな空間でいいのです。
たとえば、「授乳のためのエリア」はもともとあったソファでもいいですし、「世話をするためのエリア」は座布団1枚でも構いません。
大切なのは、いつも決まった場所で、決まった流れで行うこと。
毎日同じことの繰り返しは、大人にとっては単調でつまらないものですが、赤ちゃんにとっては喜びであり安心なのです。
(相良敦子先生による「秩序の大切さ」の記事はこちら)
次回は、0歳後半の赤ちゃんの為のお部屋作りについて、ご紹介します。
(執筆者:伊藤久美子 / AMI0-3歳レベル、日本モンテッソーリ教育綜合研究所3-6歳レベル資格者)
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